2012年6月23日土曜日

日本人が知らない韓国の常識10~昔話の悪役が現代社会の模範~ by 御美子


日本人観光客にも人気のあるプデチゲ専門の
チェーンレストラン「ノルブブテチゲ」
韓国人なら誰もが知る昔話「フンブとノルブ」。
ノルブが兄でフンブが弟なのだが、あらすじはこうだ。

兄ノルブが富裕な家の財産を全部受け継ぎ、弟フンブ家族を同じ敷地内に使用人として住まわせる。
ところが、ノルブの妻の「何故フンブ一家の面倒を見る必要があるのよ」という言葉をきっかけにフンブ一家は屋敷から追い出されてしまう。
子沢山のフンブは食べるのにも事欠き兄に助けを求めるものの、ノルブの妻に無碍に断られた上暴力まで振るわれる羽目に。
そんなフンブの家に怪我をした渡り鳥が舞い込み、心優しいフンブは手厚く看病し鳥は無事に旅立った。
翌年、鳥はフンブに恩返しをし、フンブは急に金持ちになる。
兄ノルブは弟フンブが羨ましくなり、鳥の足をわざと折って見返りを期待するが逆に落ちぶれることに。
その後兄フンブが恥を忍んで弟ソルブに助けを請うとソルブは快く兄家族を迎え入れ、兄弟仲良く暮らしましたとさ。という話である。

韓国で人気のレストランチェーンに「ノルブプデチゲ」というのがある。
「ソンブとノルブ」の兄の名前なのだが、日本人の感覚では、何故悪人ノルブの名前を使うのか不思議に思い、何人かの韓国人に尋ねたものの満足できる答えにはなかなか行き当たらなかった。
信頼できる韓国人友人から聞いた話によると、現代の一般的韓国人の感覚では、弟のソルブは「独立心が無く兄を当てにし貧乏子沢山で性格が卑屈である」
反面ノルブは「向上心があり着る物や食べ物にこだわる趣味人で好ましい」ということになるらしい。

現代の韓国人の価値観を象徴しているようで非常に興味深かった。

5 件のコメント:

  1. イソジーン真澄6/23/2012

    ところ変われば考え方もそれぞれですね。
    私なら、弟が優しい、兄は反省したら、と思ってしまう。
    興味深く、勉強になりました。

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    1. 御美子6/23/2012

      早速のコメントありがとうございます。
      日本人の感覚では「おむすびころりん」や「舌切り雀」の悪い爺さんが
      イメージキャラクターになれば違和感があると思うのですが
      韓国では上昇志向や高級感があるということでイメージキャラクターに
      堂々と採用され、しかも誰もそれを不思議に思わないというところに
      大いに驚かされ興味を持った次第です。

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  2. miruba6/24/2012

    コメントがまた入っていませんでした。私また何をやらかしたのかしら^^

    アラジンと魔法のランプのお話が、最近あまり取りざたされないのは、アラジンは大変怠け者であったのに、ランプを手に入れたことによって
    大金持ちになったりするから。怠け者が濡れ手に粟の物語は良くない、ということのようです。
    弟が鳥を助けて鳥の恩返しで、金持ちになってしまう。正直でやさしいというだけで、自分の力でなく、濡れ手に粟をつかむことはよくない。

    そういう捕らえ方なのでしょうか?
    面白いお話でした。

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    1. 御美子6/24/2012

      そう言われれば、ディズニー映画の「アラジン」も
      ジャスミン王女とは結婚したような気がしますが
      その後幸せに暮らしたという話は聞かなかったような気がします。
      韓国では兄ノルブのように長男が貪欲なまでに財産に執着することは
      家系を絶やさないようにするための仕方のないこと。
      反面、要求すべき財産を受け継がずに安易に兄の下に留まり
      追い出されても文句も言えず、ただ優しいだけの弟ソンブは
      鳥の恩返しで大金持ちになっても、後に兄家族を引き取っても
      取るに足らない者と見なされるようです。

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  3. 価値観の違いとは怖いものですね。

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