2018年3月9日金曜日

どっちが先 by ショウ


 村道の右手は薄氷の張った田んぼの遥か彼方に、白く聳える奥羽山脈が静かに横たわり、反対側に生えている大きな松の枝先が道に覆いかぶさり、その下を行く女子高生三人が映える。
 制服姿が寒そうに見えるが、手袋に好みの柄のマフラーを顎も隠れるようにし、軽やかに家路についている。犬を連れ自転車に乗った村の青年とすれ違うと、三人はクスクスと顔を見合って、はち切れんばかりの笑顔で青年の背を盗み見する。そして景色に見とれている小顔系の美香利が、
「ネネ、今の何点?」
 と、敏江に青年の採点を聞くと、貞美が、
「あいつの弟、クラス同じなんだけど。部屋にね、エッチ本一杯だってよ。でさぁ、見たのって聞いたのよ」
「見たって?」
と、美香利が貞美に聞くと、
「見るかぁ、あんなのって叱られちゃったわよ」
 すると敏江が、
「あんなのって言ったわけ?」
 この敏江の言い方に美香利は少し戸惑った。すると貞美が、
「ね、敏江、どういう意味、それ?」
「そうでしょ、あんなの、って言う事は見たから言えるセリフじゃない?」
 美香利は、そうかもしれないと思い、見ると見ない。どっちが普通か、少なくとも学校や両親からは良いよという話を聞いた事はなく、少し沈んでしまった。すると敏江が、
「興味持っていいんじゃない、普通よ。でしょ」
と二人に言い放った。すると貞美が、
「ライオンなんかはね、メスが最初なんだって、発情が」
「人も?」
 と、美香利が山脈から目を移して声を出した。すると、貞美が
「そっ!!」

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