いきなりそれは始まった。最初は何が何だか分からないまま泣く事も忘れ呆然とするしかなかった。
なぜ?どうして?自分がいったい何をしたのか。いくら考えても分からない。分からないよ。
鬼のように歪んだ顔の母の手が頭や顔やお腹に降りかかって来る。
だけど知っている。もう少し辛抱すれば収まる。収まってしまえばきっとまた自分に笑ってくれる母に戻ってくれる事を。
虐待。何かの拍子にスイッチが入るようにそれは気まぐれに襲いかかってきた。
またいつものように嵐が過ぎ去るのを待っていたのだけれど今回はちょっと打ち所が悪かったみたいだ。どんどん意識がなくなる。
僕の身体が悲鳴をあげている。同時に母の心も悲鳴をあげているようだった。
何がいけなかったんだろう。
近所の人が警察に通報したのだろう。
僕は病院に運ばれ母は警察に連れて行かれた。
「お前のせいだ。お前がいなければ。お前なんか生まれてこなければ良かったんだ」
何度となく聞かされた言葉。
何度も言われるうちに何も感じなくなってしまった。
そっか。母がそう望んでいるならそれに従おう。そう思ったら気持ちが楽になった。
今度生まれてくる時は望まれて生まれてきたい。「かあさん」最期に思い浮かぶのは母の笑った顔。懐かしいな。それでも大好きだよ。
了
今頃のコメントで申し訳ありません。
返信削除子供って何歳までか忘れましたが、母親が大好きですよね。
どんな母親でも、何をされようとも母親が大好きな気がします。
母親が適切に応えてあげないと人格形成に問題が生じる気がします。
私は母親として、子供を煩わしいと思ったことがありました。
子供に対して、申し訳ないことをしたと今でも思っています。
子供を虐待する親は心の病気を患っていると思います。
一人で抱え込まずに虐待に至る前に相談すべきだと思うのですが
それができないからこそ心の病気なんだとも思います。
>御美子さん
削除コメントありがとうございます\(^o^)/。
最近は近所付き合いも希薄だし核家族化は当然だし子育てしてる時は母親の視野は狭くなるしで結局悪循環なんでしょう。
いつも無関心な母親も虐待の時は自分を見てくれるから、と子どもは思うらしいですね。
悲しいことです。
一つでもこんな悲しい事が無くなって欲しいです