2018年11月29日木曜日

秋の日々に3<パリのスケッチ> by Miruba

 散歩しながら気に留めた場所を描いてみる。タブレットの中の写真を見て仕上げる。
 パンテオンドームの下は地下墓地になっていて、フランスの偉人たち、キュリー夫妻やヴィクトール・ユゴー、点字のルイ・ブライユ、ミラボーなどが眠る霊廟である。サンジュヌヴィエーヴ教会とも呼ばれる。


街の裏通り ・ モンマルトルの丘の裏通り


サクレクールバジリカ(聖堂)・テルトル広場裏通り


郊外。建物が傾いているような…… 



 ムーランルージュ辺り。ムーランルージュは、フレンチカンカンで有名なナイトクラブ。ベルエポックの華やかさが今も息づいている。できれば一回は観たほうがいいと思う。選ばれたダンサーたちの素晴らしい踊りを堪能できる。



13区ビュット・オ・カイユの裏通り


秋の午後、パレ・ロワイヤルの中庭 


 今日は今日しかないし、今は今しかない。秋の日々を楽しむことは、贅沢な時間のような気がする。






2018年11月22日木曜日

秋の日々に2<モントルイユの蚤の市>by Miruba 

 長女から、フランス語の本が欲しいので日本に帰国するときに持ってきてほしいと頼まれた。日本人ではあり、日本を気に入って住んでいるとはいえ、生まれ育ったのはフランス。長く日本にいると、やはりフランス語に飢えてくるのだろう。生まれてくる赤ちゃん用に長女が子供の時に読んでいた絵本や、日本では手に入らないコーンフレークも用意する。

 その買い物ついでにモントルイユの蚤の市に行ってみた。泥棒市と言われるくらい、アラブ系の人たちがどこからか持ってきたようなものばかりを売っていたので、この10年くらい足を向けていなかったのだ。
 久しぶりに行ってみると、テント張りの屋台列はそのほとんどが普通の洋服や雑貨の安売り商店街になっていた。「蚤の市でも何でもないなぁ」と思って歩いていると、所々に中古の(骨董風の)物を置いてある店がある。
 フランス人の店主の持っているものはさすがに名のある^^ 骨董品で、みな高い。値切ってもなかなか安くならなかった。指貫をいくつか買った。珍しいのは小指に入れる指貫。ドイツという刻印のある上下の空いた指貫は古そうだった。指貫収集に花を添えてくれる。「マダムは日本人? 私日本に行ったことがある。いいところね。いいものがあるのよ。このボタンはいかが?」奥から出して見せてくれたのは昔のドレスにつけるボタン。16世紀の物だという……(嘘っぽい^^)でも歴史抜きでもとても珍しいので買っちゃった~。

 帰ろうかと思ったら、奥まったところでアラブのおじさんが半分壊れたようなものなど雑然と物を置いていたので覗いた。
  小物入れがぐちゃぐちゃ置いてあるガラスの割れたショーケース内に、WEDGEWOOD(ウェッジウッド)のジャスパー*の陶器が付いたステンの小物入れがあったのだ! 少し傷はあるが状態は良い、ジャスパーの絵柄もいい。「いくら?」と言うと「そこにいある小物入れは、みんな5€(約630円)」と答えるではないか! おじさん価値知らないのか?やったぁ~^^v 嬉しさは顔に出さないで、5ユーロ札を急いでおじさんに渡し、手提げにしまった。これこそ掘り出し物よね。
(*ジャスパー:創業者のジョサイア・ウェッジウッドが宝石のような焼き物をつくろうと、4~5年の歳月をかけて完成させた釉薬のかかっていないストーンウエア)

 午後は友人とカフェで待ち合わせ。時間があったので、カフェまでの道を散歩しながらたどってみる。
 キャトルセプタンブル駅、私がいつも利用する駅(写真左)。9月4日駅という意味で、第三共和政が成立した日を記念してつけられた名前、転じてナポレオン3世が失脚した日ともいえる。右は、NICOLAS(ニコラ)というワイン専門店。
 

 このパッサージュ(屋根付き歩道商店街)は、大昔、高田賢三や 森英恵がブティックを持っていたファッションのパッサージュだったことで知られたが、今は昔、現在は韓国や中国のファストフード店街になっている。でも、ここには画材屋があるので、気に入っている。

 パレ・ロワイヤル。この館は1624年首相だったリシュリューの物だったが後にルイ13世に寄贈した。ルーブル宮を嫌ったルイ13世の妻アンヌがその後太陽王と呼ばれた幼いルイ14世を伴って住んだことから、パレ・ロワイヤル(王宮)、と呼ばれたのだ。パレ・ロワイヤルの中庭(写真右)「人生のフルーチェ」のごとく各椅子の背に色々な著名人の言葉が彫られている。

友人と会ったカフェ。オペラ通りにあるので、その名もカフェロワイヤルオペラ。できてから50年以上になるという。
 友人とはここ数年会っていなかったので、ちょっと驚いた。「リタイアしてから全然外に出ないのよ」という彼女はその昔は凛とした美人でフランス人の中でバリバリ仕事をしていたキャリアウーマンだったのだ。あまりの風貌の変化に、病気か? と思ったら、お加減が悪かったのはご主人のほうだった。看病疲れだったのかも。でも話し出すと昔の彼女が戻ってきて、楽しい時間を過ごせた。どうしても、健康の話になってしまうのは、私たちの年齢のお決まりね。
また会おうといって別れた。

 帰りはマンション裏の公園を通った。サッカーを4組ぐらいでプレーをしてもまだ余るくらい広い芝生の公園だ。子供たちといつも来て遊んだものだ。今日も1日が終わった。
そういえば、今日は一日が長かったなぁ。

2018年11月13日火曜日

秋の日々に・1<ホテルリッツのレストラン> by Miruba

 パリの自宅に戻ってから早一か月! いつも思うことだが、月日の経つのは本当に早いもの。なんでも、年を取ると刺激を感じることが少ないので、時間経過を早く感じるのだとか。反対の気もするが、確かに旅行などをしていると、見たことのない物や場所を観るので、知らずに刺激を受けているからか、時間はゆっくり過ぎている気がする。
 10月は誕生月。この年齢になるとめでたくもないが、お祝いをしてもらうとやはり嬉しい。パリに入る前東京の娘夫婦の家に泊まったらケーキが用意されていた。

 ここ数年は旅行中の誕生日が多かったのだが、今回はパリでレストランにお呼ばれ。十数年ぶりのホテルリッツでの食事~。
 オペラ座を正面に見て左の道を行く。ヴァンドーム広場に面したところにホテルリッツがある。オテル・リッツ ( Hôtel Ritz )は、パリの中心部、1区にある壮麗な高級ホテルである。1898年創業、スイスのホテル経営者セザール・リッツと料理人のオーギュスト・エスコフィエの協力のもと設立された。居室に隣接した浴室や電話、電気を各部屋に設置提供したのは、オテル・リッツがヨーロッパで初めてだったという。その贅沢さがまたたくまに評判になり、王侯、政治家、作家、映画スター、歌手等を顧客に迎えることになった。スイートの幾室かに、ココ・シャネルやアーネスト・ヘミングウェイら著名な宿泊客を記念して、名前が付けられている。(Wikipediaより引用)ココ・シャネルもヘミングウェイも何年も滞在したことで知られている。4年にわたる460億円の大改装を経て2017年に再開業した。

 ミシュラン一つ星のレストランと、2つ星のレストランと2軒入っている。2つ星レストランの副シェフは、Mr. Asanoさんという日本人だ。素晴らしいね。

 地下にあるサロンはダイアナさんが最後に食事をしたところだそう。ロートレックの絵がさりげなく掛けてあったりする。
 左はバーテンダーのコリン・ピーター・フィールドさん。政治・経済からカルチャーまでの知見が高い彼が待つカウンターを訪れるゲストは毎夜、後を絶たないとのこと。「ミリオネラの常連も多いけれど、マダムのような美しい方も大勢いらっしゃいますよ」ですって~

 席には、Joyeux Anniversaire「お誕生日おめでとう」とカードが入ったランプが。 ワイン一本でお手ごろな値段で(ハーフボトルなのに)1万円もする~^^ もっとも、私が見るメニューには金額は表示されていません。男性は、ドキドキだろうなぁ^^

 

どの料理も凝っていて美味しい。量も心配するほど多くはなくちょうどよかった。

食前のお楽しみ・アペリティフと一緒に

前菜1 ・ 前菜2

魚 ・ ハト

デザートめちゃくちゃ凝ってた ひも状のチョコレートが束になっていてさらにロールしてある、中にはチョコレートムースが入っている。
 

他にも誕生日のためのケーキも出てきて、とても食べきれなかった~




 数日後、Mr. Asanoをアペリティフ(食前酒ミニホームパーティーのこと)にご招待したが、休日出勤を余儀なくされたとかで、ドタキャン、残念。

 アペリティフの時の用意、これにナッツやチーズを付ける。飲み物はシャンパン、ワイン、ビールやジントニックなどカクテルを提供する。おしゃべりがメインなので、そのまま夕飯に入っちゃうこともある。この日の夕飯用は鶏手羽と栗の甘辛煮を作ってあった。昔は毎週のようにアペリティフミニパーティーで友人たちを呼んだり、また呼ばれたりしたものだ。

 この年になると、お友達たちは、日本に帰ってしまっていたり、こちらの友人たちは亡くなってしまったり、地方に越していったりと、ずいぶんと寂しくなってきた。子供たちがいないので、ママ友との付き合いもなくなったから、余計だ。新しい友人を作るにはなかなか~ 気に入った友人だけで、付き合うには十分。なんて若いころは思ったものだが、友達は多いに越したことはないな。だって、放っておいても、だんだんいなくなるのだからね。

 次の日のお昼は、マッシュポテトとフランクフルトのボイル、ぐっと庶民的だけれど、これがおいしかったりするのよね~。お昼から、残ったワインにグレープフルーツジュースを混ぜて、サングリア風。衛星放送を見ながらのんびりしていると、なんと贅沢な時間かと思ってしまう。前回リッツに来た時からすると、随分と周りが変わってしまった。自分は何も変わっていない気がするけれど。そういえば、シミもしわも増えたかも。ヤダヤダ

 リッツで用意してくれたバラの花、その後2週間も奇麗に咲いてくれた。花からして選別された良いものがつかわれているのね。感心した。別に高級であることがすごいことではないけれど、プライドを持って仕事をするって、そういう事なのかもしれないな、と思った。