2002年、我が家に韓国人の中学生と引率の先生がホームステイをした。
実は、それまで韓国や韓国人と全く接触がなく、知識は皆無に等しかった。
その先生から「親日と言われると・・・」と言いにくそうに言われたことがあった。
両国の歴史に無関心だった当時の私が「親日」という言葉には、日本や日本人に好意を持つという以外に別の意味があることを初めて知った瞬間だった。
2005年(革新系盧武鉉政権)から4年間と期間限定で着手された大統領直属機関「親日・反民族行為真相究明委員会」が、2009年(保守系李明博政権)11月に合計1005名の該当者を公表し使命を終えた。
施行済みの「親日反民族行為財産の国家帰属に関する特別法」の裏づけ資料として機能しているのではないかと考えられている。
その時点で4回目に当たる氏名公表以前に、現在のレートで約100億円の個人資産が、敵国協力への見返りと見なされ没収され独立功労者や独立記念事業の資金となっているらしい。
上記は韓国の新聞社のニュース記事から抜粋要約したものだが「親日」とレッテルを張られたら財産を没収されるくらいなのだから、前出の先生が親日家と言われることに戸惑ったのも当然だと納得できる。
さて、韓国の「親日」は、大韓民国の建国年度にまで影響を及ぼす。
革新系は日本が韓国を統治していた時に上海にできた臨時政府樹立の1919年、保守系は日本から独立解放された後の1948年を建国の年と言っている。
保守系が建国年度を30年近くも遅らせたい理由は「1948年以前に日本に協力的だったとしても大韓民国成立前で売国行為に当たらない」と主張したいからに他ならない。
建国年度が1919年に確定したら、新たに「親日辞典」に載る人数が増えることだろう。
韓国では2015年に日韓政府間で締結された慰安婦問題合意に対して最近になって「前政権の決めたことは認められない」と公式発表した。
日本政府の見解は「見直すつもりは全くない」だが、それで正解だ。
しかし、一部のマスメディアがいっているような「さすがの日本人もこれには怒る」と嫌韓に走る必要はないと思う。
韓国政府の発表は自国民へのアピールだと考えられるからだ。
ムン・ジェイン現大統領の悲願は「親日清算」つまり、自国民を売ったり、それによって軍事政権時代や現在も恩恵を受けている韓国人の清算であって見ず知らずの日本の一般市民ではないはずだからだ。
元慰安婦達は支援者達から「日本政府が謝罪すれば尊厳が回復できる」と教え込まれて行動を起こしているように見えるが彼女たちの当初の願いは、心のこもらない日本政府からの謝罪ではなく自分達を売った当事者からの謝罪や自国民から白い目で見られないことだったと考える。
親日をひた隠しにしたい保守系と、それを暴いて特権階級から引きずり落したい革新系。日本がらみの問題の裏には韓国人同士の葛藤が常にあるように思えて仕方がない。
慰安婦問題だけでなく竹島問題も、韓国人同士で「親日清算」ができるかどうかが鍵で日本人が中途半端な親切心を示すと余計にこじれてしまうと考える所以である。